乗馬エンデュランスとは?

sokaijoba

エンデュランス馬術競技(Endurance riding)は長距離の耐久レース競技で、簡単に言えば馬と一緒に行うマラソンです。

コースは野外で平地に限定されていない為、山・森・砂漠の中を進んだり、川を渡ったり等もあり、大自然を満喫しながらのレースになるので、世界で人気がある競技です。

単独で大自然の中を進むので、当然に高い技術レベルも求められます。

しかも、人間のマラソンと違い、区間ごとに獣医師が馬の健康状態や歩き方(歩様:ほよう)等をチェックし、検査に合格出来なければ失権(しっけん)となり、競技終了となります。

ゴールした後にも検査があり、ここで不合格なら完走扱いにならず、もちろん最終順位はもらえません。

世界の有名なエンデュランス馬術大会

▼テビスカップ(The Tevis Cup)
アメリカ・カリフォルニア州で1955年から毎年行われている、100マイル(160~161㎞)を制限時間24時間以内に完走するレース。

テビスカップは通称で、正式名称はウェスタンステイツトレイルライド(Western States Trail Ride)。

途中にクーガーロック(Cougar Rock)という高い火山の岩石があり、多くのライダーが挑戦する場所として有名。

▼シェイク・モハメド・ビン・ラシッドエンデュランスカップ(The Sheikh Mohammed bin Rashid Endurance Cup)
アラブ首長国連邦(UAE)で毎年行われる、160㎞のレース。

▼トム・キルティ・ゴールドカップ(Tom Quilty Gold Cup)
オーストラリアで1966年から毎年行われている、160㎞のレース。

エンデュランスのルール

国際馬術連盟(FEI)認定競技になる為、ここで規定されているエンデュランスのルールの一部を解説していきます。

規定は変更もあるので、細かい部分は国際馬術連盟で確認してください。公認競技会以外では、大会ごとに規定が大きく違う場合もあります。

スタートとゴールは騎乗している必要がありますが、レース中は必要に応じて降りて歩いてもOKです。

エンデュランスの距離

公認競技会は40㎞以上で行われ、さらに以下のようなクラスがあります。一番短い距離からしか出場出来ず、規定回数を完走していないと次のクラスに進めません

非公認競技は20㎞からありますが、これも完走してないと次のクラスに進めません。

※2日間に分けて行う規定もありますが、分かりやすくする為、1日に行う分だけ紹介。
・EN40、40以上~60㎞未満
・EN60、60以上~80㎞未満
・EN80、80以上~100㎞未満
・EN100、100以上~120㎞未満
・EN120、120以上~140㎞未満
・EN140-160、140以上~160㎞以下

エンデュランスの年齢制限と出場資格(人・馬)

▼人
14歳の誕生日を迎える年から出場可能(20歳未満は保護者の同意必要)。

JEF騎乗者資格B級(エンデュランス限定)以上必須。※乗馬技能認定エンデュランス2級以上から移行可能。

▼馬
5歳以上であれば出場可能(距離により上がります)。

エンデュランス馬術大会の流れとルール

▼出走前にホースインスペクション(獣医検査)
馬の健康状態、歩様に異常がないか等をチェック。

▼競技一斉スタート
規定時間以内にスタートしないと、失権(しっけん)となり競技終了。

▼フェイズ(区間)毎のホースインスペクション
区間毎に馬の健康状態(怪我もないかどうか等も含む)、心拍数が1分間に64回以下、歩様に異常がないか等をチェックし、検査に合格出来なければ競技終了。

▼フェイズ(区間)毎の制限時間
区間毎に決められた走行時間が設定されていて、各ホースインスペクションを受ける場所に入るまでが走行時間になり、オーバーすると競技終了。

▼ゴール
最終ホースインスペクション、ここで不合格なら完走扱いにならず、もちろん最終順位はもらえません。

エンデュランス馬術大会のルールその2

・ウォーターポイント
10㎞ごとに馬への給水エリアが設けられています。

・クルーポイント(5㎞以上の間隔で設置)
馬をクールダウンさせ、ホースインスペクションを通過するように援助する、サポートメンバーをクルーと呼び、ここでだけ選手と馬に接触が許可されています。

・ホールドタイム
ホースインスペクション後に、決められた時間の休息を取らないといけません。

エンデュランスのトレーニングはどこで行うの?

乗馬クラブ内で対応している場所や、専門に取り扱ってる乗馬クラブだと数万円で長距離走行が体験出来る場所もあります。

エンデュランス馬術大会の参加費用

実際に大会に参加しようとすると、大会参加費、馬の貸出費用、輸送費等が必要になり、数十万はかかります。距離が長くなれば、さらに高額になっていきます。

エンデュランスライセンス(乗馬技能認定)

一般的な乗馬ライセンス(乗馬技能認定)は、公益社団法人全国乗馬倶楽部振興協会(以下、全乗協)が認定するものになっています。

満14歳以上で、かつブリティッシュ又はウエスタンの3級取得が受験資格になっていて、飛び級は出来ません。1級のみ筆記試験がありませんが、実技試験が3回必要です。

▼エンデュランス3級
実技:20㎞トレイルライド完走、筆記:競技ルール、馬の健康管理等

▼エンデュランス2級
実技:40㎞トレイルライド完走、筆記:競技ルール、基礎獣医学、馬の健康管理等

▼エンデュランス1級
実技:国内外のエンデュランス競技において、80㎞以上のコースを3回完走(完走証明書が必要)、筆記:無し

エンデュランスライセンス(騎乗者資格)

日本馬術連盟の認定する審査会(都道府県馬術連盟、組成団体、及び団体会員として登録のある団体が不定に開催)で、筆記と実技に合格し、登録料を支払い登録すれば認定されます。

▼C級
Cは全ての基礎になっており、これを取得していないと先には進めません。

▼エンデュランスC級
実技研修、講習会受講、筆記試験80点以上

▼エンデュランス限定B級
実技講習もしくは公認競技会における40kmの完走証明書を提出、講習会受講、筆記試験80点以上

▼エンデュランス限定A級
過去2年以内に、主催・公認競技会(国内外を問わず)における、80㎞以上の完走実績を3回以上有する者

全乗協の技能検定からの移行方法と移行条件

全乗協のHPから申請書を印刷して必要事項を記入して郵送すると、資格取得証明書が発行されます。

連盟に入会(入会金・年会費有り)し、連盟のHPから申請書を印刷し、上記でもらった証明書と登録料を支払えば、2週間ほどで移行完了します。

乗馬ライセンスの移行が出来る条件は、以下になります。

・エンデュランス2級 → エンデュランス限定B級

-乗馬競技や乗り方の種類